ハウスメーカーの建築士に二級建築士が多い理由と見るポイントを解説

以前、戸建てを検討している友人からある相談を受けた。それは『某ハウスメーカーの設計担当が二級建築士なんだけど…大丈夫かな?』と言う話し。

今回は「ハウスメーカーの建築士」「見るポイント」について解説していくね

もとさぶ

先に結論から言うと「設計担当の建築士が二級建築士でも問題ない」という事です。

ただし、個人の能力によってかなり左右されてしまうので、見るポイントについても説明していきます。

このページで分かることは?
  • ハウスメーカーの建築士に二級建築士が多い理由
  • 二級建築士(建築士)の業務範囲について
  • 「一級建築士」「二級建築士」どちらが良いのか
  • 見るポイント

ハウスメーカーの建築士に二級建築士が多い理由

ハウスメーカーの建築士に二級建築士が多い理由を挙げます。理由はとても簡単です。

  • 二級建築士資格があれば、たいていの住宅設計は可能であるから

この一言に尽きます。

ピヨひこ

「たいてい」??
もう少し深堀りしていってみよう

もとさぶ

建築士の種類について

建築士資格は3種類あります。まずは種類から理解していきましょう。

建築士は「一級建築士」「二級建築士」「木造建築士」の3つの資格に分かれています。

 

一級建築士「国土交通大臣」の免許で建築物にかかわる設計、工事監理等を行う。

二級建築士:「都道府県知事」の免許で建築物にかかわる設計、工事監理等を行う。

木造建築士:「都道府県知事」の免許で木造の建築物に関して設計、工事監理等を行う

木造建築士は名前の通り【木で作られる建物のみ】設計をすることが可能となっています。

一級建築士と二級建築士の違いについて

ピヨひこ

一級建築士と二級建築士の違いはなに?

二級建築士は【建築物の種別】【階数】【規模(面積)】によって設計できる範囲に制限があります。

逆に一級建築士は種別、階数、規模の制限がありません。この点が二級建築士と大きく違います。

補足1
~建築物の種別とは~

 

建築物の種別は「1:木造、2:鉄筋コンクリート造(RC造)、3:鉄骨造(S造)、4:鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)、5:石造、6:れん瓦造、7:コンクリートブロック造、もしくは、8:無筋コンクリート造、9:その他」に大別する事が出来ます

住宅で言うと1~3のいずれかに該当する事が多い。その中でも「1:木造」が圧倒的に多いだろうね

もとさぶ

補足2
鉄骨造は「重量鉄骨」か「軽量鉄骨」かに分類されます。

戸建てやアパートには「軽量鉄骨」が使用されることが多く「重量鉄骨」は大型マンションやビル、工場などといった大規模な建物に採用されます

ただし一般的な戸建てに重量鉄骨は使わない。という訳ではありません。

3階以上の戸建ての場合だと重量鉄骨が採用されるケースもありますし、ハウスメーカーによっては階数に限らず重量鉄骨が採用されているケースもあります。

重量鉄骨と軽量鉄骨の違いについての記事は以下からどうぞ。

~準備中~

建築士の業務範囲について

『二級建築士資格であれば、たいていの住宅設計が可能』と説明しました。ここで建築士資格毎で設計可能な業務範囲表を見ていきましょう。

~建築士の業務範囲~

構造種別木造、その他右欄以外の構造鉄筋コンクリート造鉄骨造、石造、れん瓦造、コンクリートブロック造もしくは無筋コンクリート造
高さ「高さが13m」または「軒の高さが9m以下」「高さが13m」または「軒の高さが9mを超えるもの」「高さが13m」または「軒の高さが9m以下」「高さが13m」または「軒の高さが9mを超えるもの」
階数階数1階数2階数3階数2以下階数3以上
延べ面積(m²)※130以下
100以下
200以下
300以下
500以下
1,000以下
1,000超

一級建築士 ※2
一級建築士または二級建築士
一級建築士・二級建築士・木造に限り木造建築士
◆ 誰でもよい(建築確認申請は必要)
学校・病院・劇場・映画館・公会堂・集会場・百貨店の用途に供する建築物は、一級建築士でなければ設計・工事監理を行うことが出来ない。

※1 増改築などについてはその部分の面積になります。条例により制限が強化されることがあります。
※2 建築物のうち、建築基準法20条第一号または第二号に掲げる建築物に該当するものの構造設計については「構造設計一級建築士」による構造設計または法適合確認が必要です。
階数が3以上で床面積も合計が5,000㎡を超える建築物の設備設計については「設備設計一級建築士」による設備設計または法適合確認が必要です。

ピヨひこ

なるほど!住宅のみで考えれば、二級建築士は「木造:3階建てまで、1000㎡以下(約300坪)」「鉄筋コンクリート造または鉄骨造:300㎡以下(約90坪)」までが設計可能ということか

そういうことだね。だから住宅設計であれば、二級建築士で設計可能となるケースがほとんどなんだ

もとさぶ

「一級建築士」「二級建築士」どちらが良いのか

さて、ここからが本質的な話しとなります。

体裁面(資格面)で見ると、一級建築士の方が良いです。ですが、建築の世界では【その人(設計者)の経験値が全て】と言えます。

  • 一級建築士だから安心
  • 二級建築士は住宅設計ばかりしているから、住宅規模だと強い

上記のような言葉はよく聞きますが、正しくもあり、間違いでもあります。

一級建築士の人でも住宅設計の経験値が乏しい人もいますし、ベテランの方ももちろんいらっしゃいます。二級建築士でも同じ事が言えます。

ただ、二級建築士の方が規模等の制限がある為「住宅設計に従事している割合が多い」というだけで、人によっては住宅設計に乏しい方もいらっしゃいます。

~「一級建築士」「二級建築士」どちらが良いのか:結論~

 

良し悪しは、所持資格に関係なく【設計士の経験値】で決まる

見るポイントについて

ハウスメーカーや担当者を見るポイントがあります。

  • ハウスメーカーが「営業兼設計」なのか、それとも「営業」と「設計」で分かれているのか
  • 設計担当者が経験豊富かどうか
  • 質疑に対して満足する返答を貰えるかどうか
  • 熱意があるか

「営業兼設計」と「営業・設計」の違いについて

ハウスメーカーによっては「営業兼設計」という形もありますが、出来る事なら「営業」と「設計」は分かれている方が良いと私は思います。

単純な話しで「営業兼設計」と「営業オンリーまたは設計オンリー」である場合、当然注ぎ込める力(熱量)は変わってきます。
また、営業に必要なスキルと設計に必要なスキルも違ってきますので、それぞれを専門として仕事をされていた方が引き出し量も多く、お施主様(お客様)にとっても満足する回答が貰いやすいと言えるでしょう。

営業力と設計力は別物。営業が出来るからと言って設計も出来る…とは限らない。営業兼設計のハウスメーカーは「ローコスト住宅」が多いね

もとさぶ

設計担当者が経験豊富かどうか

先ほどお伝えしたように、設計は経験値が全てです。経験が浅いほどプラン詰めにも影響しますし、質問を投げても早い回答は貰いにくいでしょう。

経験豊富かどうかは、対面すれば気付くと思います。経験が浅い場合は、オドオドとして落ち着きが無かったり、知識が浅いため返答に時間が掛かってしまう事が多いからです。

実務を積むまでは仕方がないこと…でもお施主様(お客様)からすればそんなことは関係ない。一生に一度の大きな買い物だからね

もとさぶ

担当者の熱意や、社内フォローがいきわたっているかも大切です。

誠心誠意対応してくれる担当者は〇

仕事を効率よくこなそうとすれば『一件辺りの時間を掛け過ぎたくない』というのが正直なところでしょう。

ピヨひこ

ノルマも絡んでくるんだろうけど…誰だって仕事が重なれば大変になってくるもんね

「適当にあしらうのか」それとも「親身に寄り添ってくれるのか」…誠心誠意対応してくれているかどうかは、下記のような部分に表れてきます。

  • 丁寧な説明がある(お客さんが分かるまで)
  • プランの要望に対して的確に対応してくれる(代替え案などがある)
  • こまめに連絡をしてくれる(アフターフォローなど)

ちなみに、なるべく要望に沿って設計されていると思いますが、全て通るわけではありません。

MEMO
設計プランが構造的に引っ掛かることもあります。

例えば「柱が必要、梁が必要、耐力壁が必要、吹抜けは難しい」など…対応策として「柱を大きくする、耐力壁を別の箇所に追加する、火打ち梁を入れる」といった事が考えられますが、ハウスメーカー(意匠・デザイン)との相談が必要となります。

「お施主様⇔ハウスメーカー(意匠)」「ハウスメーカー(意匠)やプレカット屋⇔構造」といった様に、業種間で何度かやり取りが発生する為、時間を要します

プランの要望が通らないとしても、いくつか代替え案を提示してくれると嬉しいよね。

全て受け身になってるハウスメーカーだと、なかなか完成しないからね

もとさぶ

対策方法

と言ったものの、正直良し悪しの判断は難しいですし、設計が始まるとハウスメーカーの変更等は難しいと思います。

一番の対策方法としては、契約前に「事前に口コミなどをチェックする」ことが有効でしょう。

また「同じハウスメーカーで建てている知人がいるのなら、直接聞いてみるのも良い」でしょう。

家造りは、ハウスメーカー選びから始まります。ハウスメーカー選びでの事前確認は大切です!情報収集をしっかりして、満足のいく家造りをしていきましょう。

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