一級建築士製図 基礎の選択と地下水位を考慮した基礎底深さの設定方法

悩み3

今回は地下水位を考慮した「基礎の深さ」について解説していこうと思う

もとさぶ

このページで分かることは?
  • 直接基礎・柱状改良杭基礎・杭基礎を選択できる深さについて
  • 地下水位を考慮した直接基礎の深さの決め方
  • 2016年度で出題された条件から読み取る最適な「基礎選択」と「基礎深さ」
  • 2018年度で出題された条件から読み取る最適な「基礎選択」と「基礎深さ」

直接基礎・柱状改良杭基礎・杭基礎を選択できる深さについて

まずは直接基礎・柱状改良杭基礎・杭基礎を選択する際のポイント(目安)となる深さを押さえておこう

もとさぶ

  • 直接基礎の深さ3m程度までの深さに支持層がある場合、採用できる(支持層に500mm程度貫入させる)
  • 柱状改良杭基礎の深さ10m程度までの深さに支持層がある場合、採用できる
  • 杭基礎の深さ10m以上の深さに支持層がある場合、採用できる(N値40以上、かつ、層厚5m以上を支持層とする)
上記表の内容は資格学校で習った時の情報だよ。支持層(支持地盤)となる深さを決めて、条件に合う基礎を選択しよう

もとさぶ

MEMO
2016年・2018年度の製図試験では「支持地盤の深さや条件」「杭打ちの必要性の有無」といった情報が記載されています。

これらの情報より最適な基礎を選択しましょう

支持地盤が3m程度にあって直接基礎とする場合は、基礎下端をGL-3.0mまでおろすのではなくて「(独立基礎の場合)基礎梁底+100mm程度を基礎底に設定」し【基礎底から支持地盤までを地盤改良(表層改良)する】といった方法もあり、実務設計ではよく使います。

製図試験で使うかどうかは分かりませんが、頭の隅にでも入れておいてください

地下水位を考慮した基礎の深さの決め方について

ピヨひこ

地下水位によって何が変わるの?
構造設計では地盤支持力などにも影響が出てくるんだけど…製図試験だと施工性や経済性の方が重要視されているかもしれない。

2016年度製図試験の地盤条件を例題として説明してみるよ

もとさぶ

~2016年度製図試験「子ども・子育て支援センター(保育所、児童館・子育て支援施設)」の地盤条件~

 

地盤は良好である。なお、支持地盤はGL-1.2mとし、支持地盤以深の圧密沈下及び液状化の可能性はなく、杭打ちの必要もない(詳細条件は下記とする)

地盤条件(GL-1.2m以深はN値=40以上の洪積砂礫層(コウセキサレキソウ)であり、地下水位はGL-2.0m以深である)及び「経済性」を踏まえて、採用した基礎構造の形式としなさい

仮に基礎下端をGL-2.2mとした場合、どうなるかな?

もとさぶ

ピヨひこ

ん~…GL-2.0mまで掘り進めると水が出る?!
そうだね。基礎を作る為にGL-2.2mまでどんどん、どんどん掘削を進めていけばGL-2.0m(地下水位レベル)あたりで水がジワジワ~っと湧き出てきてしまう

もとさぶ

基礎を打設する為に沸いて出てくる水は処理しないといけません。

当然、経済性を考慮するとGL-2.0m以深に基礎を設定する事は適切ではないでしょう(望ましくない)

~基礎の選択と基礎の深さを設定する際のポイントを整理~

  • 圧密沈下や液状化の恐れがあるか、また、杭打ちの必要性の有無についても確認する
  • 支持地盤と地下水位がどこにあるかを確認する
  • 支持地盤の深さによって採用できる基礎が変わることに注意する
  • 地下水位より下に基礎を設定すると、湧き出てくる水の処理が必要となり、経済面であまりよくない(絶対ダメという訳ではありません)

2016年度で出題された条件から読み取る最適な「基礎選択」と「基礎深さ」について

~2016年度製図試験「子ども・子育て支援センター(保育所、児童館・子育て支援施設)」の地盤条件~

 

地盤は良好である。なお、支持地盤はGL-1.2mとし、支持地盤以深の圧密沈下及び液状化の可能性はなく、杭打ちの必要もない(詳細条件は下記とする)

地盤条件(GL-1.2m以深はN値=40以上の洪積砂礫層(コウセキサレキソウ)であり、地下水位はGL-2.0m以深である)及び「経済性」を踏まえて、採用した基礎構造の形式としなさい

まずは上記条件より望ましい「基礎形式」と「基礎深さ」を見ていこう

もとさぶ

独立基礎

~2016年度製図試験の望ましい基礎について~

 

■基礎形式
杭打ちの必要性もなく、支持地盤までの深さも「直接基礎」の範囲である。
また、GL-1.2m以深はN値40以上の洪積砂礫層でN値が高く地盤支持力を大きく確保できることから、経済性を考慮して「独立基礎」を選択

 

■基礎深さ
地下水位がGL-2.0m以深にあることから、基礎下端をGL-1.7mに設定した(捨てコン:50mm、栗石または砕石100mm or 150mmを別途考慮)

基礎下端をGL-1.8mとしてはいけないのか

ピヨひこ

基礎下端をGL-1.7mとしている理由ってあるの?GL-1.8mとしてはいけないのかな?
いけないという事はないんだけど、施工誤差を考慮すれば100mm程余裕を見といた方がいいかな?!という判断だね

もとさぶ

直接基礎の下は「捨てコンクリート」と「栗石、または、砕石」を用います。

設計者によって採用する厚みは異なりますが「捨てコンクリート:50mm」「栗石、または、砕石:100mmか150mm」と設定する事が多いです。
つまり、基礎下端からさらに200mm程度必要となります。

基礎下端をGL-1.8mと設計するのは間違いではないですが、現場での施工誤差を考慮するなら100mm程度余裕を見ておいた方が良いでしょう。

ピヨひこ

より現実的に考えてってことだね

基礎下端をGL-1.2mとしてはいけないのか

ピヨひこ

逆に基礎下端はGL-1.2mとしてはいけないの?掘削量も減るし経済設計となるんじゃない?
そうだね。掘る量が減るということは「残土処理の量も減る」ということ。再利用できれば良いんだけど、この残土処理費用が高いみたい。

いずれにせよ掘削量が減ればその分基礎を構築するコンクリート量も減るから良いことだね。

でもね、構造設計的にはちょっと危険となりうる可能性があるんだ

もとさぶ

~基礎深さが浅いと少し危険?!~

  • 理由1:基礎が浮き上がるかもしれない
  • 理由2:地盤支持力が取れない

「理由1の基礎が浮き上がるかもしれない」とは

少しイメージしてほしい。(短期的な)地震や風を受けた時、建物として下記写真の様な力が発生する

もとさぶ

引き抜く力

このように上に引き抜こうとする力に抵抗する要素として「建物重量」や「基礎の深さまでの重量(基礎重量や土重量)」が重しの役割となる。浮き上がりや、転倒しないようにしないといけないんだ

もとさぶ

「理由2の地盤支持力が取れない」とは

構造設計で地盤支持力値を計算する時に「Df効果」を考慮します。

Df効果を簡単に言うと…基礎にかかる荷重によって基礎下の土が横へ膨らんで(地盤面を)押し上げようとする。それを「押さえる働き」の事を言うんだよ

もとさぶ

ピヨひこ

………
まっ要は押さえ込みの効果によって地盤支持力が大きく取れるということ。

つまり構造的に安全ということを意味するよ

もとさぶ

  • 地盤支持力が大きくとれる=基礎の面積(平面的に見て)を小さくすることができる
  • 基礎の面積を小さくできる=コンクリートや掘削面積を減らすことができる
注意
ただし「隣接する土地が工事する」など基礎近くが掘り起こされる場合、Df効果は発揮されません(=期待してはいけません)ので、設計上Df=0としないといけないケースもあります
ちょっと専門的な話しになるから難しいと思う…結局何が言いたかったのか?というと、あまり基礎深さを浅くし過ぎるのも良くない。ということ

もとさぶ

『詳細の構造計算が必要?!』となってしまうので、試験では「地下水位より上、かつ、なるべく深い位置」に基礎下端を設定し「経済性と構造面」のバランスを取るのが良いでしょう。

MEMO
ちなみに、試験元の解答例では「直接基礎(独立基礎、布基礎、ベタ基礎)ならどれでもOK」「基礎下端GL-2.0m」といった断面図となっていました。

日建や総合資格の総評では「直接基礎(独立基礎が望ましい)」「基礎下端GL-1.8m」となっていました

2018年度で出題された条件から読み取る最適な「基礎選択」と「基礎深さ」について

続いて、2018年度の製図試験でも2016年度と似た問われ方をしていた。

ピヨひこ君、さっきと同じ流れで「基礎の選択」「基礎の深さ」について一度考えてみて

もとさぶ

ピヨひこ

まかせてよっ
~2018年度製図試験「健康づくりのためのスポーツ施設」の地盤条件~

 

条件:地盤は「地盤略断面図(下図参照)」のとおりであり、杭打ちの必要はない。なお、屋外プールは基礎フーチングも含め、全ての躯体を解体・撤去し、良質な土で埋め戻しを行っている。

記述式:地盤条件や経済性を踏まえた、支持層の考え方、採用した基礎構造とその基礎底面のレベルについて特に考慮したこと

~地盤略断面図~

2018製図

画像がちょっと見ずらいかもしれないから、重要なワードを抜粋していくね

もとさぶ

  • 杭打ちの必要はない
  • 既存建物(屋外プール)は基礎フーチングも含め、全ての躯体を解体・撤去し、良質な土で埋め戻し(N値=5程度の砂層)を行っている
  • GL-1.5mまでは既存建物(屋外プール)範囲を除き、N値=15程度の砂層である
  • GL-1.6m(既存建物の屋外プール部はGL-1.8m)以深は、N値=30の砂礫層である
  • GL-2.2mには地下水位が確認されている

ピヨひこ

…2016年度と比べて、えらい細かく指定されているねっ。難しいな~
そうだね。より実務的な要素が入ってきていて『2016年度と比べてシビアに見るよ~』といった意図が見える。少しズレた回答をすると減点が大きかったかもしれないね。

まっまずは落ち着いて「基礎の選択」と「基礎の深さ」から決めていこう!基礎選定のポイントを思い出そうね

もとさぶ

~基礎の選択と基礎の深さを設定する際のポイントを整理~

  • 圧密沈下や液状化の恐れがあるか、また、杭打ちの必要性の有無についても確認する
  • 支持地盤と地下水位がどこにあるかを確認する
  • 支持地盤の深さによって採用できる基礎が変わることに注意する
  • 地下水位以下に基礎を設定すると、湧き出てくる水の処理が必要となり、経済面であまりよくない(絶対ダメという訳ではありません)

ピヨひこ

まず今回は「杭打ちの必要はない」とされているから基礎は【直接基礎】で良いはず。

深さは埋め戻し(N値=5程度)は支持地盤とできないだろうから、既存建物の屋外プール部のGL-1.8m以深以降(砂礫層、N値=30)、かつ、地下水位GL-2.2m以内までにしないといけないよね。

あとは、捨てコンや砕石等を考慮すれば、基礎下端を【GL-1.9m】っていう感じなのかなぁ

ピヨひこ君。完璧じゃん、すごいよ!あとは直接基礎の種類をどうするかだね。種類は設計者の判断で「独立基礎」「布基礎」「ベタ基礎」のいずれかとなるね。

その中でも個人的に今回は「ベタ基礎」が良いと思う。あとで説明するね

もとさぶ

注意
~良質な土で埋め戻しとは~

 

「良質」という言葉に引っ掛かってしまい支持地盤に出来ると解釈された方がいるかもしれません。

N値は5程度の埋め戻し土なので雨が降れば重みで沈んでいく(自沈)可能性が十分考えられますし、N値5程度では地盤支持力も大きく取れないでしょう。

 

よって、基礎が載るための支持地盤としては到底成り立たないので注意しましょう

MEMO
ちなみに、試験元の解答例では「直接基礎(ベタ基礎)」「基礎下端GL-2.0m」といった断面図となっていました。

総合資格の総評では「直接基礎(独立基礎)」「基礎下端GL-2.0m」
日建の総評では「直接基礎(独立基礎)」「基礎下端-2.2m」となっていました

地盤略断面図のN値15から何を読み取れるのか

地盤略断面図から読み取れることを3つほど書き出してみたよ

もとさぶ

  • 屋外プールが施工される前はGL-1.5mまでが「N値=15程度の砂層」で構成されていたということ
  • 埋め戻し土の深さがGL-1.8mということから、屋外プールの基礎底レベルはGL-1.8m程度であったということ
  • 屋外プールの基礎底レベルがGL-1.6m以深のN値=30の砂礫層を支持地盤としていることから「GL-1.5mのN値=15程度」では十分な支持力が得られなかった可能性があるということ

2018年度製図試験の直接基礎はベタ基礎が良いと思う理由(管理人の見解)

とても難しい判断だったんだけど、個人的にはベタ基礎が良いように思えた。その理由を書いていくね

もとさぶ

~ベタ基礎が良いと思った理由~

  • 不同沈下が起きにくい
  • GL-1.8mまでが埋め戻し土である。つまり1階床は土間コンクリートとなると自沈が発生し床が下がる。
    施設使用において支障が出る可能性がある為、1階床は構造スラブとして施工。「上階の荷重、及び、1階床の荷重」を考慮してベタ基礎を選択
  • 経済性は独立基礎に劣るが、ベタ基礎による構造的な安全面への配慮。
  • 経済面への配慮は「1階構造スラブ下部に(1階構造スラブとベタ基礎底盤スラブとの間)埋め戻し土」を再利用して処理土を減らす

人によって導き出す答えは違います。また製図試験では「理由が伴っていればどの基礎形式(直接基礎・布基礎・ベタ基礎)」を選んでも正解なのかもしれません。

私の回答は参考程度に見ておいて下さいね。

ピヨひこ

ベタ基礎の線って書くの、むちゃくちゃ楽だから好きだな

ベタ基礎を選択した場合の記述式の回答(管理人の回答)

たいしたものじゃないけど、記述への回答も考えてみたから参考にしてみてね

もとさぶ

~2018年度製図試験 計画の要点(7)より~

 

地盤条件や経済性を踏まえた、支持層の考え方、採用した基礎構造とその基礎底面のレベルについて特に考慮したこと

~管理人の回答~

 

地盤略断面図より、支持層はN値=30の砂礫層とする。基礎下端は捨てコンと砕石を考慮しGL-1.9mとする事で地下水位に配慮した。

埋め戻し土部分は自沈する可能性があるので1階床は構造スラブとした。上階荷重と1階床荷重を十分支持ができ、不同沈下にも強いベタ基礎を採用した。

使用用途のない1階構造スラブとベタ基礎底盤間には、土を埋め戻して再利用することで残土を減らし経済性に配慮した

まとめ

製図試験の内容が徐々に「専門的、かつ、実務的」へと移行している気がします。

資格学校の製図対策講座で学ぶ事はたくさんありますが、当日の試験は講座対策で勉強していない内容が出題される可能性がある。
受験者が「その場でいち早く適切な判断をする」といった事が求められます。

どんな問題が出題されても、まずは落ち着くことが大事。

きっと周りの受験者も同じで焦っているはずだよ。手を止めないようにして出来ることから進めていこう

もとさぶ

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